地下鉄池下駅の1番出口を出て、東へ歩いて3分ほどのところに、古川美術館があります。覚王山・池下エリアで美術に触れたくなったら、まず足を運びたい場所です。ひとりの実業家が集めた美術品から始まったこの美術館の成り立ちと、楽しみ方を紹介します。
ひとりのコレクションを、みんなのものに
美術館の生みの親は、古川爲三郎(1890〜1993年)です。明治23年に今の一宮市で生まれ、名古屋で映画興行などの事業を手がけて成功をおさめた実業家でした。昭和10年代に刀剣を手に入れたのをきっかけに、自邸を飾るための美術品を集めはじめ、日本画や洋画、茶道具などへと関心を広げていきます。
集めた作品は自分だけで楽しむのではなく、多くの人に見てもらいたい。そう考えた爲三郎は、昭和62年(1987年)、97歳のときに財団を設立します。中区での仮の展示施設を経て、平成3年(1991年)に千種区池下町で古川美術館が開館しました。爲三郎は初代館長をつとめ、開館から2年後の平成5年(1993年)、103歳で亡くなっています。晩年まで夢を追いかけた、そのエネルギーには驚かされます。
爲三郎は美術館のほかにも、名古屋大学の図書館(のちの古川総合研究資料館)をはじめ、多くの公共機関に寄付をしてきました。社会に還元するという考え方が、この美術館の出発点にもなっているのです。
近代日本画を中心に、約2,800点
収蔵品は約2,800点。柱になっているのは明治以降の近代日本画で、横山大観、上村松園、川合玉堂、竹内栖鳳、前田青邨、東山魁夷など、教科書で名前を見かける画家の作品が並びます。上村松園と伊藤小坡という、同じ時代に活躍した女性画家ふたりの作品がそろっているのも特徴のひとつです。
日本画のほかにも、小磯良平や杉本健吉らの洋画、陶磁器や工芸品があります。少し意外なのが、15世紀のフランスで作られた手描きの彩飾写本『ブシコー派の画家の時祷書』。中世ヨーロッパの祈りの本が、池下の美術館に収められているのです。さらに、鬼頭鍋三郎や田村能里子など千種区にゆかりのある作家の作品も収蔵しています。
展示は、所蔵品による企画展のほか、外部と組んだ展覧会もあります。展覧会ごとに内容も会期も変わるので、訪れる前に公式サイトの展覧会情報で、開催中の展覧会をチェックしておきましょう。
分館とセットで楽しむ
古川美術館から南へ歩いて1分ほどのところに、分館の爲三郎記念館があります。爲三郎が暮らした数寄屋造りの邸宅と日本庭園を公開しているもので、庭を眺めながらお抹茶をいただける「数寄屋 de Café」もあります。入館券には両館に入れる共通券があるので、ぜひ続けて訪ねてみてください。分館については別の記事でくわしく紹介しています。
利用のポイント
- 休館日は月曜日(祝日・振替休日なら翌日)。展示替えの期間と年末年始も休みです
- 入館料は展覧会によって異なります。最新の料金は公式サイトの入館料のご案内で確認しましょう
- 2館共通券には割引があり、和装で来館すると半額、名古屋市交通局のドニチエコきっぷや一日乗車券の提示で200円引きなど(割引の内容も公式サイトで確認を)
- 大型バスが停められる駐車場はありません。地下鉄での来館が便利です
- 展示替えの期間のほか、臨時休館することもあります。出かける前に公式サイトのお知らせやカレンダーを確認しましょう
基本情報
| 名称 | 古川美術館 |
|---|---|
| 住所 | 〒464-0066 名古屋市千種区池下町2-50 |
| アクセス | 地下鉄東山線「池下」駅1番出口から東へ徒歩3分/「覚王山」駅1番出口から西へ徒歩5分/市バス「池下」下車 |
| 開館時間 | 10:00〜17:00(入館は16:30まで) |
| 休み | 月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)、展示替期間、年末年始 |
| 料金 | 展覧会により異なります(古川美術館のみの単館券と、爲三郎記念館との2館共通券あり)。入館料のご案内をご覧ください |
| 電話 | 052-763-1991 |
| 公式サイト | 古川美術館 |
